8月上旬、「冷し中華」よりも「カレー」の出前が人気!長雨の影響で夏の定番「冷し中華」などのスタートが出遅れる

暑い夏には冷たいものや、スパイスたっぷりのカレーなどスタミナのつく食事が好まれがちですが、長雨が続き気温が低い今夏の状況はどうなっているのでしょうか? 本記事では、夏に食べたくなる食事や味付け、具体的なメニューについて調査した結果をご紹介します。

スパイスたっぷりのカレー

「食」ビジネス、IT情報など飲食業界のトレンド情報をお届けする総合メディア『フードテック総研』では、日本最大級の出前サービス『出前館』会員を対象に、昨年に続き今年も「夏の食事に関する調査」を行いました。

夏の食事の定番といえば、暑さを忘れさせる冷たいもの。冷やし中華や素麺など、するりと食べられるひんやりメニューが好まれますが、今年は長雨の影響でスタートが遅れている様子。一方で、カレーの人気に変化は出ていない事実が判明しました。どういったカレーが伸びているのかも調査しましたので、その結果も合わせてご紹介していきます。

調査結果サマリ

1.夏の時期に食べたくなる食事1位は「冷たいもの」
2.夏の時期に食べたくなるメニューの「カレー」は出前で食べることが多い
3.夏の定番「素麺」は自炊メニューとしての人気が高い
4.2019年7月は長雨や低気温の影響で「冷たいもの」の商品出数が前年割れだったが、「カレー」は前年比ほぼ同数で推移した

<調査結果詳細>

『出前館』会員を対象に「夏の時期に食べたくなる食事」を調査したところ、全体の半数以上が「冷たいもの」と回答しました。回答者の半数以上が夏は「料理のやる気が下がる」と回答しており、手早く作れる自炊メニューとして「素麺」人気が36.9%と高い傾向にあります。長雨や気温の影響で「冷たいもの」の出数が減少する一方、「カレー」は気温の変化の影響を受けず、前年とほぼ同数で推移しています。

夏の時期に食べたくなる食事や味付けとは?

夏の時期に食べたくなる食事

『出前館』会員を対象に、夏に食べたくなる食事について聞いたところ、1位「冷たいもの(57.4%)」、2位「スタミナがつきそうなもの(48.5%)」、3位「のどごしが良いもの(47.4%)」との回答が得られました。また、夏に食べたくなる味付けについては、1位「さっぱり(52.4%)」、2位「辛い(16.8%)」、3位「酸っぱい(15.3%)」でした。

男女別でみると、「辛い」味付けは男女とも大きな差が見られませんでしたが、「さっぱり」した味付けは女性の方が男性より10ポイント近く高く、逆に「こってり」した味付けを食べたくなるとの回答では、男性が女性の2倍の回答となりました。

夏の定番人気メニューは「冷たいもの」、出前人気NO.1は「カレー」

夏の時期に食べたくなるメニュー

どんなメニューが人気なのかも気になるところ。夏の時期に食べたくなるメニューについても聞いてみました。

具体的なメニューで人気だったのは、1位は「冷たい蕎麦・うどん」で64.9%、2位が「冷し中華」で55.2%、3位は「カレー」で45.4%でした。先ほどのアンケート結果の通り、冷たくさっぱりした「冷たい蕎麦・うどん」や「冷し中華」は夏の定番メニューと言えそうです。

それぞれのメニューについて自炊、外食、出前のうちどこで食べることが多いか調べると、夏の定番「素麺」は自炊で食べたくなるとの回答は36.9%でしたが、外食や出前では1~2%でした。今回行ったアンケートで夏の時期の食事の準備について聞いた際、回答者の半数以上が「料理のやる気が下がる」と回答しており、その原因の60%が「キッチンが暑い」ことでした。素麺は、夏の暑い時期でも調理時間が短く簡単に作れるため自炊メニューとして人気と考えられます。

出前で食べることが多いメニューの1位は「カレー」で、外食や自炊に比べて15ポイント以上高い結果となりました。男女別で見ると、夏に出前でカレーを食べることが多いとの回答は男性が48.7%、女性が43.0%と5ポイントの差でしたが、夏に外食でカレーを食べることが多いとの回答は、男性が33.1%だったのに対して女性は22.9%でした。

外食のシーンでは、カレーを食べるのに女性一人でお店に入りにくいと感じる層が一定数いるため、男女で10ポイントの差がでましたが、出前では周りを気にせずに食べられるため、男女差がほとんどなかったと考えられます。

「カレー」は気候の変化に影響を受けず人気を保っている

商品出数の推移

次に、『出前館』の注文データを元に、夏に食べたくなるメニューの商品出数の推移を調べたところ、定番の「冷たい蕎麦・うどん」や「冷し中華」はいずれも前年割れとなっていました。特に冷し中華の7月の商品出数は前年同月比で68.0%と大きく下がりました。

要因として、昨年と今年の気候の変化が考えられます。東京の気温を例に挙げると、昨年の7月は30℃を超える日が1ヶ月のうち26日あったのに比べて、今年は30℃を超える日は9日だけでした。また、最高気温も昨年が平均32.7℃だったのに対して今年は平均27.5℃と5℃も差がついています。「冷たい蕎麦・うどん」や「冷し中華」など夏の定番メニューのスタートが遅れている原因として、こうした気温の差や長雨の影響が考えられます。

一方で、「カレー」は気温の変化の影響を受けず、前年とほぼ同数で推移しています。具体的にどのようなカレーが伸びているのか調べたところ、「タイカレー」の商品出数は前年同月比129.6%、「インドカレー」は同162.2%とどちらも前年と比べて大きく出数が伸びました。総務省の家計調査によれば、カレールウの支出金額は7月が最も多く、続く8月が2番目と、夏はカレーの消費が伸びやすい時期です。

インドカレーのようなたくさんのスパイスを組み合わせて作られたカレーは"食べる漢方"とも呼ばれ、胃腸の調子を整え、新陳代謝を促し、「体のだるさ」や「食欲不振」などにも効果があります。湿気や暑さなどで体の不調が出やすい梅雨から夏にかけては自然と体がカレーを欲するため、今年のように寒くなったと思ったら急に暑くなるような寒暖差の激しい気候の中では、カレー(特にスパイスを多く使った「インドカレー」や辛い「タイカレー」)の注文が伸びたと考えられます。

夏の時期におすすめの出前メニュー

最後に、暑さが本格的になるこれからの時期におすすめの出前メニューを紹介します。

<夏の時期におすすめ・人気の出前メニュー>

梅おろし 半田そうめん(950円/信州更科 又右衛門)
サラダうどん(890円/ガスト)
自家製冷し中華(1,000円/謝謝美食)
スパイスカレーTHEチキベジ弁当(1,055円/カレーハウス CoCo壱番屋)

※価格はすべて税込価格です。価格は地域によって異なる場合があります。

『フードテック総研』では、日本の出前・デリバリーをはじめとする「食」産業の活性化に貢献するため、引き続き、最新の出前・デリバリー情報をお届けしていきます!

【調査概要】
● 夏の食に関する調査
 調査期間:2019年7月5日~7日
 調査対象:出前館利用者 1,121名
● 夏のメニューの商品出数推移
 調査期間:2017年1月1日~2019年7月18日
 調査対象:商品名に「冷」かつ「そば(蕎麦)」「うどん(饂飩)」を含む商品、「冷し中華」、「カレー」を含む商品

【参考データ】
7月の天気と気温:気象庁(https://www.data.jma.go.jp/gmd/risk/obsdl/index.php

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この記事の監修者

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フードテック総研編集部

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