3割が利用経験あり!クイックコマースの利用実態調査レポート

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食料品や日用品の即配サービスであるクイックコマース。2021年から目にすることが増えたのではないでしょうか。本記事では、出前館会員を対象に実施したアンケート結果をもとにクイックコマースの利用実態をご紹介いたします。

「食」ビジネス、IT情報など飲食業界のトレンド情報をお届けする総合メディア『フードテック総研』は、日本最大級のフードデリバリーサービス『出前館』東京23区の会員を対象に、クイックコマースの利用に関する調査を行いました。

2020年以降コロナ禍の外出自粛とともに、人々の生活にフードデリバリーが定着しました。2021年には、スーパーやドラッグストアが取り扱うような食料品や日用品をすぐに届けてくれる「クイックコマース」と呼ばれる即配サービスが相次いで登場しています。その利用実態はどのようなものでしょうか?

約3割の人がクイックコマースを利用したことがある

直近1年以内のクイックコマースの利用経験


直近1年以内のクイックコマースの利用経験

出前館会員を対象に、直近1年以内にクイックコマースを利用したことがあるかを聞いてみると、約3割が「利用したことがある」と回答しました。

クイックコマースの利用頻度

利用頻度は、「月に2~3回(41%)」が最も多く、次いで「週に1回以上(16%)」、「2~3ヶ月に1回程度(16%)」という結果となりました。およそ7割の人が月に一度はクイックコマースを利用していることが分かりました。

利用経験が「ある」人の割合は男性のほうが高い

利用経験が「ある」人の割合は男性のほうが高い

男女で回答を比較してみると、クイックコマースの利用経験が「ある」と答えた人は男性が39%、女性は28%と、男性のほうが利用経験のある人の割合が高いことが分かりました。

クイックコマースを利用するのは「お店に行くのが面倒なとき」

クイックコマースを利用するのは「お店に行くのが面倒なとき」

利用経験のある人に、利用シーンを聞いたところ、1位の「お店に行くのが面倒なとき(74%)」が圧倒的に多く、2位は「今すぐに欲しいものがあるとき(27%)」、3位が「お店に行くことができないとき(24%)」でした。さらに、「特定の状況下ではなく、日常的に利用している(18%)」という回答も2割近く得られました。

利用経験のあるクイックコマースで多いのはUber Eatsと出前館のサービス

利用経験のあるクイックコマースで多いのはUber Eatsと出前館のサービス

直近1年以内に利用したことのあるクイックコマースのサービスを聞いたところ、「Uber Eats Market(46%)」出前館が運営する「Yahoo!マート by ASKUL(PayPayダイレクト)(45%)」がほぼ同率で高い割合を得ました。フードデリバリーでも大きなシェアを持つ2社が優勢のようです。
フードデリバリーを利用していた人が、同じ会社のクイックコマースも利用するようになることが推測されます。

その他の回答には、「近所のスーパー」「Amazonフレッシュ」などが含まれました。

クイックコマースを利用しない理由は「なじみがないから」

クイックコマースを利用しない理由は「なじみがないから」

クイックコマースの利用経験が「ない」と回答した人に対し、その理由を聞きました。突出して多い理由が「クイックコマースをよく知らない、なじみがない(65%)」でした。まだ新しいサービスであり、とっつきにくさを感じている人も少なくないようです。「店頭で商品を選びたい(9%)」という回答は意外にも少なく、デリバリーサービスが生活に根付いた印象を受けます。

その他の回答としては「30分以上かかってもしょうがない」という非常に短時間での配達を求める声や、「配達エリア外のため利用できない」との声がありました。現在は東京23区内であっても利用できない地域もあるため、今後のサービス展開地域の拡大が期待されます。

ユーザーは「店頭と同じ価格」「クーポン利用」を重要視

ユーザーは「店頭と同じ価格」「クーポン利用」を重要視

利用頻度が「月に2~3回以下」と回答した人に対し、どのような場合にクイックコマースを日常的に利用したいと思うかを聞いたところ、全体では「商品価格が店頭と変わらない(全体34%)」、「クーポンが利用できる(全体34%)」が同率1位となりました。

男女別では、「商品価格が店頭と変わらない」の割合が女性は44%と、男性の27%比較し17ポイントも差をつけています。女性は男性よりも値段を気にする傾向にあることが分かりました。

潜在需要が高いのは生鮮食品と医薬品

クイックコマースで購入した商品TOP10

クイックコマースで購入した商品TOP10

クイックコマースで購入した商品TOP10は、1位が「お弁当、おにぎり、お総菜パン(59%)」、2位が「水、ソフトドリンク(38%)」、3位が「お酒(30%)」でした。

ドラッグストアで扱われるような日用品の商品では、「ティッシュ、トイレットペーパーなど紙製品(14%)」が9位にランクインしました。

購入した商品には男女で異なる特徴が見られる

購入した商品には男女で異なる特徴が見られる

男女別ではランキングに差が見られました。「スナック、お菓子、おつまみ、アイス」「ティッシュ、トイレットペーパーなど紙製品」は女性に多く購入され、「お酒」は男性に多く購入される傾向にあることが分かりました。

すぐに欲しい、必要と思うことがある商品TOP10

すぐに欲しい、必要と思うことがある商品TOP10

今すぐに必要、欲しいと思うことがある商品も聞いたところ、1位から3位は「お弁当、おにぎり、お総菜パン(53%)」、「水、ソフトドリンク(35%)」、「お酒(27%)」と、購入されることの多い商品の種類と変わらない結果となりました。

購入したことのある商品TOP10と大きく異なる点として、8位に「野菜、肉、魚、卵などの生鮮食品(19%)」が、10位に「薬、サプリメント(17%)」がランクインしています。生鮮食品や医薬品は、購入経験のある人は多くないものの、需要の高い商品であることがうかがえます。
「夕飯の支度をしようと思ったら食材が足りないことに気づいた」「子どもが突然熱を出したので解熱剤が必要」といった急を要する瞬間に、クイックコマースが活躍することは間違いないでしょう。

女性は食料品と紙製品、男性は医薬品

女性は食料品と紙製品、男性は医薬品

こちらも男女別でランキングに差が見られました。購入経験のある商品同様、女性は「スナック、お菓子、おつまみ、アイス(女性3位、男性5位)」「ティッシュ、トイレットペーパーなど紙製品(女性6位、男性9位)」の順位が高いです。「牛乳、ヨーグルト、バターなど乳製品(女性5位、男性8位)」「野菜、肉、魚、卵などの生鮮食品(女性7位、男性10位)」も女性のほうがすぐに欲しい、必要思う人が多いようです。
一方、「薬、サプリメント」の順位は男性のほうが高い結果となりました。
女性は、TOP10それぞれの商品の回答割合が男性と比較しておしなべて高く、すぐに必要、欲しいと思う商品の幅広さが表れています。

クイックコマースは新しいライフスタイルのひとつに

デリバリーサービスはコロナ禍でのライフスタイルの変化に伴い生活に定着しました。外出自粛期間中に利用し始め、その便利さの虜になった人も多いでしょう。
徐々に外出ができるようになり、コロナ禍からウィズコロナへと、さらなるライフスタイルの変化が起きています。
「テレワークで通勤時間を削減できていたが、出社日数が増え自由な時間が減ってしまった」「休日は外出を楽しみたいので、家事や買い物の時間を短縮したい」といった人々の時間の有効活用に、クイックコマースは一役買うのではないでしょうか。
国内でもサービスが増えつつあるクイックコマース。まだまだ発展途上ですが、新たな買い物の選択肢のひとつとして普及し始めています。

『フードテック総研』では、日本のフードデリバリーをはじめとする「食」産業の活性化に貢献するため、引き続き、最新の情報をお届けしていきます!

【調査概要】
クイックコマースの利用に関する調査
調査期間:2022年5月25日~31日
調査対象:東京23区の出前館利用者 616名

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この記事の監修者

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フードテック総研編集部

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